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のです。「日本のライオンズクラブはお金があるから金を配っているだろう。わしらのライオンズクラブは金がないから、老人に弁当を配っているんだよ」と。私がたいへん教えられたのは、私の中にある考え方がどうしてもシステム優先に傾きがちだったということでした。ケースワーカーを派遣する、訪問看護も必要、となれば訪問看護ステーションと介護支援センターは一つにしなければいけないということですし、ケースワーカーとホームヘルパーとはチームで行きなさいということになる。だんだんホリスティック、すなわちチームワークになってくるということです。専門は分化していく、しかしバラバラではなしにチームを組んでやる。みんなが一緒に協力をして、チームを組んで取り組むべきであるということでしょう。
私の中にあるのは、老人に食事を配食する、デイサービスセンターにお年寄りはお出で下さい。年をとったら特養で、あるいは老健施設にお入り下さいという発想で、まずいろいろの機関、施設、サービスを組み立てて、それを何とかシステム化する。システム化できたら、どうぞこれで独り暮らしても生活できるのではないでしょうかと呼びかけたりしたことが、私にはいままで何度かありました。
でも、ニュージーランドに行って、私は考え方を改めざるを得ませんでした。サービスというのは、システムがあってサービスするのではない。一人の高齢者が、自分はそこで死ぬと希望するならば、いかにその生活を支え、健康を守るか。村を挙げて町を挙げてサポートする。このサポートするシステムというのが、一人の老人の自立のために組み立てられるべきではないのか。ご老人の人生があって、サービスはそのためにサポートする、これが本当なのだということを私はそのときに習ったのです。

 

 

 

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